過活動膀胱

過活動膀胱は「急に尿意をもよおし、漏れそうで我慢できない(尿意切迫感)」「トイレが近い(頻尿)、夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)」「急に尿をしたくなり、トイレまで我慢できずに漏れてしまうことがある(切迫性尿失禁(尿漏れ))」などの症状を示す病気です。

患者数

40歳以上の男女の8人に1人が、過活動膀胱の症状をもっていることが、知られていますので、実際の患者さんの数は約800万人以上ということになります。この中で、切迫性尿失禁がある人は、約半分いました。

図版

出典:本間之夫ほか:日本排尿機能学会誌:14:266-277, 2003

原因

過活動膀胱には、脳と膀胱(尿道)を結ぶ神経のトラブルで起こる「神経因性」のものと、それ以外の原因で起こる「非神経因性」のものがあります。

  1. 神経因性過活動膀胱(神経のトラブルが原因)
    • 脳幹部橋より上位の中枢の障害
      脳血管障害、パーキンソン病、多系統萎縮症、認知症(痴呆)、脳腫瘍、脳外傷、脳炎、髄膜炎、など
    • 脊髄の障害
      脊髄損傷、多発性硬化症、脊髄小脳変性症、脊髄腫瘍、頸椎症、後縦靱帯骨化症、脊柱管狭窄症、脊髄血管障害、脊髄炎、二分脊椎 、など
  2. 非神経因性過活動膀胱(神経トラブルとは関係ない原因)
    下部尿路閉塞、加齢、骨盤底の脆弱化、特発性(原因が特定できない場合)

診断と治療

  • 問診
    日常生活にどの程度の支障があるのかを、今までにどのような病気があったのか、などできるだけ具体的に聴きます。症状の特徴や傾向がわかり、診断や治療をより適切に行うことができます。
  • 過活動膀胱症状質問票(OABSS)
    過活動膀胱の診断、重症度の判定に使用します。
質問 症状 頻度 点数
1 朝起きた時から寝る時までに、
何回くらい尿をしましたか
7回以上 0
8~14回 1
15回以上 2
2 夜寝てから朝起きるまでに、
何回くらい尿をするために
起きましたか
0回 0
1回 1
2回 2
3回以上 3
3 急に尿がしたくなり、
我慢が難しいことがありましたか
無し 0
週に1回より少ない 1
週に1回以上 2
1日1回くらい 3
1日2~4回 4
1日5回以上 5
4 急に尿がしたくなり、
我慢できず尿を漏らすことが
ありましたか
無し 0
週に1回より少ない 1
週に1回以上 2
1日1回くらい 3
1日2~4回 4
1日5回以上 5
  合計点数

過活動膀胱診療ガイドライン、日本排尿機能学会 過活動膀胱ガイドライン作成委員会、ブラックウェルパブリッシング株式会社(2005)

  • 尿検査
    血尿がないか、細菌が入っていないか、炎症はないかなどを調べます。
  • 腹部エコー検査
    膀胱に残っている尿(残尿)の量や、腎臓・膀胱の形や状態、がんや結石の有無などを調べます。
  • 排尿日誌
    尿の状態をさらに知るために、排尿日誌をつけてもらいます。1日のうち、トイレに行った時刻、尿の量、などを記録していきます。排尿日誌をつけることで、その人の尿のトラブルの特徴や傾向がわかり、診断や治療をより適切に行うことができます。
  • 尿流量測定(ウロフロメトリー)
    測定装置のついたトイレに排尿をしてもらいます。1回の排尿にかかる時間、尿の量、尿の勢い、排尿のパターンなどがわかります。

必要に応じて、その他の検査が行われます。

治療

  • 行動療法
    「生活指導」、「膀胱訓練」、「理学療法」「排泄介助」によって、尿トラブルの症状を軽くすることができます。
  • 薬による治療
    過活動膀胱の治療は、まず抗コリン薬やβ3刺激薬などの薬物療法を行うのが一般的です。
    抗コリン薬:膀胱のムスカリン(M)受容体へのアセチルコリンの結合を阻害し、膀胱の異常な収縮を抑制します。口内乾燥、便秘、などの副作用がみられることがあります。
    β3刺激薬:膀胱のβ3受容体に作用し,蓄尿期のノルアドレナリンによる膀胱弛緩作用を増強することで膀胱容量を増大させます。