夜尿症

夜間睡眠中に無意識に排尿をしてしまう尿漏れの状態を夜尿という。生下時はすべての人間が夜尿がありあますが、年齢とともに徐々に消失していきます。そのため、睡眠時の排尿機能が確立すると言われる5歳以降も持続する夜尿を病的と考え、夜尿症といいます。

病態

夜尿症の病態については一元的な説明はついていませんが、膀胱容量、夜間多尿、睡眠覚醒の異常、尿道リング状狭窄などの泌尿器科的異常が原因として、挙げられます。また、夜尿患者の血縁者に夜尿症を持つものが多いことから遺伝的素因も存在すると考えられています。

頻度・疫学

夜尿症は男児に多く、その比率は男児:女児で約1.5‐2:1です。夜尿症の頻度については、6歳で約10%、10歳で約5%の児童が少なくとも月に1回以上の夜尿を認め、思春期の学童や成人においても0.5-1%程度の頻度であると考えられています。夜尿症は年齢とともに徐々に消失していくが、自然消失率は毎年約15‐17%と報告されています。

疾患としての重要度

夜尿症は、ほとんどの症例で年齢とともに消失してくるが、患児ばかりか患児の家族にも精神的・心理的に影響を与えており、夜尿症の治療は必要です。また、昼間の排尿症状を伴ったり、治療に抵抗性の夜尿症では、器質的下部尿路通過障害や膀胱機能異常を伴っている症例もあり、侵襲的な泌尿器科的検査も要することがあります。

診断

  • 夜尿症の診断・検査、治療は、年齢が低いほど治療の意義が低いために7歳以降の学童期から始められます。
  • 夜尿のみの症例は自然消失しやすい傾向がありますが、昼間の排尿症状を合併する症例では、下部尿路の機能異常や形態の異常を認めることがあるため、必要に応じて泌尿器科的検査を行うことがあります。
  • 夜尿症の診断や治療の評価は、夜尿日誌や排尿日誌を記録し、夜尿日数、夜尿量、一晩の夜尿頻度、夜間尿量、尿意覚醒の有無、昼間の尿失禁頻度、昼間の尿失禁量、排尿量などを参考にして行います。

治療

  • 生活指導:夜尿に関係していると考えられる食事内容、飲み物の種類や飲水量、および排尿習慣(就寝時排尿の履行など)について指導を行います。
  • 行動療法:代表的な治療として夜尿直後にアラーム音で覚醒させる夜尿アラーム療法があります。この治療によって睡眠中の尿保持力が増大することによって機能的膀胱容量が増加し、尿意覚醒せずに朝まで持つようになると考えられています。
  • 薬物療法:代表的薬剤として抗利尿ホルモン剤(鼻腔へ噴霧剤か内服薬)、三環系抗うつ剤、抗コリン薬があります。
    1. 抗利尿ホルモン剤:腎集合管での水の再吸収を促進するため、夜間尿量を減少させます。水中毒が最も重大な合併症であり,夕食時から就寝時までの水分摂取制限が重要です。
    2. 三環系抗うつ剤:有効性の機序がはっきりしませんが、尿意覚醒を促進する作用、抗コリン作用、尿道抵抗の増加、尿量減少作用などの薬理作用があります。
    3. 抗コリン剤:薬理作用は、抗コリン作用、平滑筋直接作用によって排尿運動を抑制し、初発尿意量、最大膀胱容量を増加および膀胱の無抑制収縮を減少させます。主に昼間の尿失禁、頻尿や尿意切迫感などの症状を有する過活動膀胱を伴う夜尿症に有効です。