腎移植血管外科

北大病院腎移植の成績

更新日:2024/4/22

北大病院における腎移植の成績

年代別に以下の3群に分け、臨床的背景、患者生存率、移植腎生着率につき検討した。

移植時期 維持免疫抑制剤 症例数
初期群 1965年-1985年 アザチオプリン + ステロイド 40
中期群 1986年-1999年 カルシニューリン阻害剤 + アザチオプリン + ステロイド 77
後期群 2000年-2020年 カルシニューリン阻害剤 + MMF + ステロイド 328

最初の20年、1986年にシクロスポリン(カルシニューリン阻害剤)導入以降の15年、2000年にMMF(ミコフェノール酸モフェチル)が導入されてから現在までの21年に分けて検討。

臨床的背景(レシピエント)

移植時年齢
中央値
(範囲)
男:女
(男%)
先行的
腎移植
移植前透析年数
中央値
(範囲)
術後入院日数
中央値
(範囲)
初期群
(n=40)
29
(12~46)
34:6
(85.0%)
NA 2.2
(0.5~6.5)
NA
中期群
(n=77)
25
(2~48)
53:24
(31.2%)
9
(11.7%)
2.3
(0.2~25.7)
35
(16~105)
後期群
(n=328)
43
(1~74)
p < 0.0001
176:152
(46.3%)
p = 0.01
91
(27.7%)
p = 0.004
2.7
(0.1~32)
p = 0.03
27
(8~366)

年齢は若年者~高齢者へと拡大され、女性の割合、先行的腎移植、長期透析が増加。

臨床的背景(ドナー)

手術時年齢
中央値
(範囲)
男:女
(男%)
生体:献腎
(献腎%)
血液型
不適合
(%)
初期群
n=40
48
(21~58)
18:22
(45.0%)
39
(2.5)
1
(2.5)
中期群
n=77
48
(13~74)
21:57
(26.9%)
71 : 6
(7.8)
4
(5.1%)
後期群
n=328
56
(5~79)
p = 0.001
130:198
(39.6%)
147
(80.8)
p = 0.07
78
(23.8)
p = 0.0001

ドナー年齢は高くなり、献腎移植、血液型不適合腎移植の増加が認められる。

移植腎生着率

移植腎生着率のグラフ
初期群 中期群 後期群
10年移植腎生着率 23.7% 60.2% 88.8%

初期は10年生着率(透析を離脱できている率)が20%余であったが、年々改善しており、
最近の後期群では90%を近くになってきている

まとめ

  • ドナー・レシピエントとも高齢者が増えている。
  • 2000年以降、先行的腎移植、血液型不適合、献腎移植の割合が増加している。
  • 女性レシピエントの割合が増加傾向にある。
  • 移植前透析期間の長い症例が増加している。
  • 移植腎生着率(10年)は初期群23.7%、中期群60.2%、後期群88.8%と改善している。
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