腎移植血管外科

生体ドナーについて

更新日:2024/4/22

生体ドナーの適応

生体腎ドナーになれる方

日本移植学会の倫理指針により、成人で、6親等以内の血族、3親等以内の姻族(配偶者の親族)となっています。また、自らの自由意志での提供である必要があります。

生体腎ドナーになれる方の範囲を表す図

日本移植学会HPより

北大病院における生体ドナーとレシピエントの関係

血液型が同じである必要はありません

北大病院における生体ドナーとレシピエントの関係のグラフ

(2010年-2021年: 177例)

近年では夫婦間移植が増加

日本移植学会のガイドライン

腎臓提供者(ドナー)適応基準

  1. 年齢は 20 歳以上で 70 歳以下(*1)
  2. 以下の疾患、または状態を伴わないこと
    全身性活動性感染症
    HIV 抗体陽性
    クロイツフェルト・ヤコブ病
    悪性腫瘍(原発性脳腫瘍および治癒したと考えられるものを除く)
  3. 血圧は 140/90mmHg 未満
  4. 肥満がない BMI は 30Kg/m2 以下。高値の際は 25 Kg/m2以下への減量に努める
  5. 腎機能は、GFR(イヌリンクリアランスまたはアイソトープ法、クレアチニンクリアランスで代用可)が 80ml/min/1.73m2 以上
  6. タンパク尿は 24 時間蓄尿で 150mg/day 未満、あるいは 150mg/gCr 未満、またはアルブミン尿が 30mg/gCr 未満
  7. 糖尿病(耐糖能障害)はないこと。早朝空腹時血糖値で 126mg/dL 以下で HbA1c (NGSP)値で 6.2%以下。判断に迷う際には O-GTT 検査を行い評価することが望ましい。
  8. 器質的腎疾患がない(悪性腫瘍、尿路感染症、ネフローゼ、嚢胞腎など治療上の必要から摘出された腎臓は移植対象から除く)

上記の基準に合致しない時の対応として、わが国で長期間行われてきた生体腎移植 実績とその長期成績を勘案しMarginal donor 基準(詳細は日本移植学会HP参照)を満たす際には生体腎移植ドナーとすることができる。その際、腎提供後の長期間にわたる腎機能などの安全性を確認する体制整備をより厳重にすることが必要である

日本移植学会HPより
リンク(http://www.asas.or.jp/jst/pdf/manual/008.pdf

手術前の準備

ドナーとレシピエントの関係性

親族6親等以内、姻族3親等以内(詳細は「生体腎ドナーになれる方」へ)
どうやって関係を証明するの?

  • 個人確認できるIDの提出が必要
    (運転免許証、パスポート、身体障害者手帳)
  • 夫婦間の場合は夫婦であることの証明
  • 戸籍謄本による文書確認

腎提供までの検査

これまで健康診断、がん検診など受けた方は結果を持参

  • 採血、検尿、心電図、レントゲン
  • がん検診:胃カメラ、大腸カメラ
    • 女性:子宮癌、乳癌
    • 男性:前立腺癌
  • 糖尿病検査
  • CT検査:腎臓の血管や結石、癌の有無など
  • クロスマッチ、HLA検査
  • 腎シンチ検査:腎機能、左右の腎臓の機能の差を調べる

手術の実際

入院から退院まで

入院から退院までの図

入院期間は10日間前後

ドナー手術の実際

ドナー手術のアプローチ方法の遷移図

手術成績と合併症

用手補助
(110例)
後腹膜鏡
(294例)
合計
(404例)
輸血 なし 3例(1.0%) 3例(0.7%)
開腹移行 1例(0.9%) 2例(0.7%) 3例(0.7%)
DGF 4例(3.6%) 6例(2.0%) 10例(2.6%)
重症合併症 なし(0%) 3例(1.0%)
結腸穿孔
腸閉塞
膀胱前腔膿瘍
3例(0.7%)

DGF: Delayed Graft Function 移植腎機能発現遅延(移植後にレシピエントが一時的に血液透析を要すること)

退院後

退院後

特に食事や運動制限はありません
術前と同様の生活で結構です

術後受診の目安の図

生体腎ドナーの予後

生体腎ドナーの予後の説明図 生体腎ドナーの予後のグラフ

生体腎ドナーの生命予後(≒寿命)は一般人と変わらない

ドナーの長期経過追跡

  • 高血圧が問題:腎臓病ではなくても対策が必要
  • 糖尿病の増加:提供後の腎機能に悪影響をもたらす
  • 提供後に、新たに病気になる可能性はある(もともと健康なのでその確率は低い)
  • ドナーが健康であり続けることは、レシピエントの心情にとっても重要。
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