腎移植血管外科
免疫抑制剤と副作用
更新日:2023/2/28
薬剤の進歩
- シクロスポリン(1985年〜)cyclosporine CyA, CsA
移植が現実的な治療になった画期的なT細胞抑制薬 - タクロリムス(1996年〜)tacrolimus, TAC, Tac
シクロスポリンの同効薬だが強力な免疫抑制作用(日本製) - ミコフェノール酸モフェチル(1999年〜)MMF
腎機能に影響しない免疫抑制剤のベストセラー(9割以上) - バジリキシマブ(2002年〜)basiliximab, BXM
抗IL-2受容体抗体(副作用が少なく拒絶反応が激減) - リツキシマブ(2005年〜)rituximab, RXM
移植には未承認だが抗体産生細胞を消去(Bリンパ球抗体) - エベロリムス(2010年〜)
mTOR受容体拮抗薬 主要ではないが補助的に用いられることが多い
米国ではその他に十数種類の新薬が臨床応用されている。
現在の免疫抑制剤:多剤併用が原則
- ステロイド剤
古来より使われて来たスタンダード
(副作用を減らすために減量される傾向) - 代謝拮抗剤
Azathioprine, Mizolibine, MMF - Calcineurin抑制剤
Cyclosporine, Tacrolimus
(腎障害などがあるため長期では減量へ) - 抗体製剤
Basiliximab, Rituximab - mTOR抑制剤 Mammarian target of rapamycin
Sirolimus, Everolimus
これらを組み合わせて副作用を減らすことが重要
免疫抑制剤の副作用
一般名 | 腎毒性 | 高血圧 | 高脂血症 | 糖尿病 | 胃腸障害 | 蛋白尿 | その他 |
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シクロスポリン | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ | 振戦、多毛 歯肉肥厚 |
|
タクロリムス | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | 振戦 | |
ステロイド | ◎ | ◎ | ◎ | 骨粗鬆症 胃潰瘍 |
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ミコフェノール酸 モフェチル |
◎ | 骨髄抑制 催奇形性 |
|||||
ミゾリビン | ◯ | 骨髄抑制 | |||||
アザチオプリン | ◯ | 骨髄抑制 | |||||
エベロリムス | ◯ | ◎ | 口内炎 |
心血管障害と関連が深い合併症(高血圧、高脂血症、糖尿病)の管理が重要である。
腎動脈瘤/腎動脈狭窄
骨盤臓器脱