腎移植血管外科
献腎移植が決まるまで
更新日:2023/2/28
献腎移植が決まるまで
ここでは、献腎移植が決まるまでの仕組みや、実際に登録するための手続きなどについてご説明します。
- 腎移植の登録と準備
- 腎臓提供と移植者の選定の実際
- 登録する場合の注意点
登録できる方
- 現在、透析療法を受けている方
- 申請時から1年前後で腎代替療法が必要になると予測される進行性腎機能障害となっている方
献腎移植の登録
登録には、登録料の振込(初回30,000円とHLAタイピング費用10,800円、毎年の更新料5,000円)を行うのと並行して、透析施設からの情報をもとに、移植施設で検査を受けて献腎移植が安全に可能かどうかを調べてから登録をする必要があります。検査は、心臓機能、呼吸機能などの全身評価と、悪性疾患や感染症の有無などを調べます。その上で移植施設から臓器移植ネットワークに情報を送り、登録料の振込が完了した段階で登録完了となります。登録が完了したら臓器移植ネットワーク本部から登録完了通知が郵送されます。
献腎移植が決まるまで
実際に献腎移植が行われるまでの道筋をご説明します。ドナー候補者が現れた場合、日本臓器移植ネットワークからドナーコディネーターが派遣され、ご家族の同意が得られた段階で血液検査が行われてます。その検査結果により、ドナーとして適切かどうか、また適合するレシピエント候補者の選定が行われます。通常は10名以上のレシピエント候補者が、後に述べる選択基準によって選ばれてリストアップされます。それぞれの移植施設では、候補となる方々に順番に連絡をして、移植を受けるかどうかの意思確認をします。移植を受ける意思決定をし次第、臨時入院をしていただき検査を開始します。実際にドナーの方から提供があるまでの時間は1日から数日という幅がありますので、その間に移植が可能かどうかを検査で確認して進めていきます。移植を受ける方の準備が整う前に腎臓が摘出される場合もあります。
移植腎の選択基準
- ABO血液型適合
- CDCリンパ球直接交差試験陰性
ポイント制で決まる移植を受けられる方の優先順位
- 所在地ポイント(献腎ドナー発生と同じ地区内優先)
- HLAミスマッチ数ポイント
- 待機日数ポイント
- 未成年者ポイント(20歳未満)
- 親族優先
これらの合計ポイントで毎回順位決定 → ポイント制による候補者リスト(〜20名)
2021年4月1日に改訂された、腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準を示します。上位10〜20名の候補者をポイント制で選出します。例えば、北海道で提供された腎臓は北海道で優先的に移植されるように所在地ポイントが優先され、白血球型(HLA)の適合度が高い順にポイントが付きます。また、献腎登録を行ってからの待機日数のポイント上優先され、さらに未成年者レシピエントが優先される仕組みとなっております。献腎移植の場合は、ABO血液型が一致・適合していることと、リンパ球交差試験が陰性であることが前提条件です。
レシピエント選択基準 - 腎臓移植
優先順位を決定するポイントの計算方法につきご説明します。ドナー発生都道府県と同一の場合、例えば北海道で発生した場合、北海道の登録者が12ポイント加算され、同一ブロック(東日本)内だと6点加算されます。HLAミスマッチ数の少なさは、6項目全て一致している場合1はミスマッチ数0となり14点加算されます。待機日数は登録からの期間に応じてポイントが高くなりますので、例えば11年以上だと10点以上のポイントが加算されます。未成年待機患者については、16歳未満だと14点、16歳以上20歳未満だと12点加算されます。これら4項目の合計ポイントによって優先順位が決定されます。
(これらの計算作業に6-8時間がかかります)
レシピエント選定〜献腎移植手術に至るまで
リストアップされたレシピエント候補者の上位から順番に、候補者が登録している移植施設へ連絡が入り、 担当医から移植を受けるかどうかの意思確認の電話連絡をします。他の候補者が第一候補とされる状況で、第二候補として連絡が入る場合もあります。複数の候補者が同一施設を第一希望として登録していた場合、下位候補者は第二希望として登録している移植施設へ入院し、移植に向けての準備を進めることもございます。移植を受けるという意思決定がなされたら、直ちに移植施設へ入院して必要な検査を行い、透析療法の追加や手術についての説明を行った後、腎臓が提供されるのを待つこととなります。移植を受ける意志がない場合は、次の候補者へ移植を受ける権利が移りますので、意思決定のお返事は通常30分以内にすることとなっております。連絡は日中・深夜を問わず、24時間いつあるかわかりません。連絡がつかない場合も、次の候補者へ権利が移ります。
入院、移植手術に際して
実際に移植手術を受ける際に必要な費用についてご説明します。
必要な費用の項目は次の通りです。
- 移植手術費
- 入院費
- 臓器運搬費
- 摘出医師派遣費
- コーディネート費 100,000円
腎移植の費用は、基本的には健康保険の適用となっております。そのため、受けられている公費負担制度の違いで、自己負担額も異なります。臓器運搬にかかる費用、摘出医師の派遣費用も移植を受けられる方が負担することとなります。場合によっては、チャーター航空機やヘリコプターによる運搬となり、費用が高額になることもあります。移植の登録申請の際に、コーディネート経費の負担に同意することとなります。コーディネート経費は、生活保護世帯などの生活背景や移植手術後の経過によっては、所定の書類提出により免除されることがあります。
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