腎移植血管外科
ABO血液型不適合腎移植
更新日:2023/2/28
ABO血液型不適合とは
生体腎移植は、ドナーとレシピエントのABO血液型の組み合わせパターンにより、ABO血液型適合移植、不一致(適合)移植、不適合移植に分類されます。ドナーの持つ血液型抗原に対して反応する血液型抗体をレシピエントが持つ場合、ABO血液型不適合移植となります。
血液型不一致(適合)移植は、血液型適合移植と同等に扱われます。
レシピエント血液型 | |||||
---|---|---|---|---|---|
O型 (抗A, 抗B抗体) |
A型 (抗B抗体) |
B型 (抗A抗体) |
AB型 (抗体なし) |
||
ドナー血液型 |
O型 (抗原なし) |
適合 | 不一致(適合) | 不一致(適合) | 不一致(適合) |
A型 (A抗原) |
不適合 | 適合 | 不適合 | 不一致(適合) | |
B型 (B抗原) |
不適合 | 不適合 | 適合 | 不一致(適合) | |
AB型 (A, B抗原) |
不適合 | 不適合 | 不適合 | 適合 |
ABO血液型不適合の腎移植
ABO血液型不適合移植について
長い間、ABO血液型不適合移植は禁忌とされてきた歴史があります。移植される腎臓に存在する抗原(A抗原、B抗原)に対してレシピエントの抗体(抗A抗体、抗B抗体)が反応し、拒絶反応が起きてしまうためです。腎移植の需要が高まる中で、ドナー不足に対応するための様々な工夫がなされ、1987年に世界で初めてのABO血液型不適合腎移植が行われました。その後、1989年には日本でも初めてのABO血液型不適合腎移植が行われました。腎移植のほとんどを生体腎移植が占めるわが国ではドナー不足の問題は特に顕著であり、そのためにABO血液型不適合移植は日本で発展したという経緯もございます。現在の日本では、年間1500〜1800件ほどの生体腎移植が行われておりますが、その約30%はABO血液型不適合移植となっております。
ABO血液型不適合腎移植のための準備(脱感作療法)
事前に準備をせずに移植を行うと、抗原と抗体の反応(抗体関連型拒絶反応)が起こってしまいます。ABO血液型不適合の腎移植となる場合は、事前の準備(脱感作療法)を施してから移植に臨みます。
ドナーの血液型に反応する抗体を徐々に取り除く治療を行います。
- リツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)点滴:B細胞(抗体を産生する細胞)を除去
- 血漿交換:ドナーに反応する抗体を除去
これら脱感作療法のために、通常より2週間早く入院する必要があります
ABO血液型不適合腎移植の成績
ABO血液型不適合腎移植の成績は、下のグラフのように血液型適合の移植と同等です。
移植を受けたレシピエントの生存率、移植腎の生着率ともに長期成績に差はないとされております。
腎動脈瘤/腎動脈狭窄
骨盤臓器脱